[2020年7月23日]7月補正予算案の内容の解説
7月補正予算案の内容の解説
7/22に発表した感染者の中に市内で勤務する接待飲食業の方がおり、再拡大後初めてとなります。
市としてもこの間、接待飲食業に対してガイドラインの順守や積極的なPCR検査の協力などを呼び掛けてきましたが、いよいよ感染者が確認されたことで、濃厚接触者の調査を経て、広い範囲に検査を進めていく考えです。
22日、7月補正予算案を発表しました。
7月27日より臨時議会を開会し、審議頂きます。
補正予算の規模は約50億円、直近の感染防止対策から中長期的な対策までを網羅した本格的な予算案となります。
〇中小企業者事業継続給付金 4億4000万円
国の持続化給付金・県の中小企業再建支援金はいずれも売上が50%以上減少した事業者が対象のため、その対象とならない20%~50%減少した事業者に20万円を支給し、事業継続を支援するものです。
〇地域公共交通支援 8300万円
路線バス事業者は緊急事態宣言下で大幅に利用者が減少した時期も、密な環境を作らないため、あえて減便せずに運行した事業者も多く、感染拡大防止に協力頂いた事業者を支援し、公共交通網を維持する施策です。
緊急宣言期間中に稼働した運転手の数に応じて支援金を支給するほか、バス・タクシーなど交通事業者が実施する職員の免許取得養成制度に係る費用を助成します。
〇ひとづくり応援講座等利用促進
新型コロナウイルス感染拡大によって学びが大幅に停滞し、ひとづくりに関わる事業者にも大きな影響が出ています。文化・教養・資格取得・スポーツ等各講座の新規受講者の減少に鑑み、学びの機会回復による文化振興・雇用促進に向けた取り組みを実施するものです。
具体的には受講料の50%割引相当額を事業者に助成するほか、事業者の感染拡大防止対策費を支援します。実施時期は10月から来年3月を予定しています。事業者の支援と人への投資を兼ねる施策となりますので、皆様もご注目下さい。
〇文化芸術発表の支援 3025万円
新型コロナウイルス感染症の影響によるイベント開催制限に伴い、主催者の費用負担が増加する中、文化芸術発表を支援するため、市文化施設の各ホールの利用料金を免除します。
対象施設は市民会館、文化センター、若葉文化ホール、美浜文化ホールで期間は8月~12月です。
〇文化芸術鑑賞イベント支援 4000万円
市内の屋外かつ市民料金を半額する等のイベントを実施する団体に対して、事業経費・市民が購入するチケットの割引相当額を助成します。
〇動画配信環境整備助成 1000万円
公演をオンライン配信するライブハウス等に対し、動画配信環境整備に係る経費を助成します。補助率は1/2、上限50万円です。
〇デジタルミュージアム推進 3200万円
新しい生活様式の下での文化芸術の発信を推進するため、千葉市美術館の収蔵品をデジタル化し、オンライン上でも発信します。
〇ふるさと納税を活用した地域コミュニティ支援 600万円
新型コロナウイルス感染症によってNPOなど市民活動団体も大きな影響を受けています。市民活動の支援と底上げを図るため、新たな資金支援制度を創設するものです。
具体的には一定の要件を満たすNPO法人等の市民活動団体を広く募集し、ふるさと納税制度を通して寄付者が対象団体一覧から団体を指定して寄附できるようにします。寄付者にとっては団体に寄付するよりも税制面の優遇があり、団体にとっても寄附の呼びかけがより効果的となります。
〇在宅サービス継続支援 837万円
在宅介護サービスにおいて、陽性者の濃厚接触者で検査結果が陰性であるにも関わらず、サービス提供を事業者が拒否するケースが本市で複数発生しています。事業者としては従事者のケア、感染防止対策費用等も必要であり、市として上記対象者に訪問サービスを提供した事業所等に対し、支援金を支給することで在宅サービス継続を図る施策です。
〇介護保険の支給限度額を超えたサービス提供への支援 232万円
24時間の見守りが必要等の状況にある方で、家族介助者が新型コロナウイルスに感染し、自身も濃厚接触者となった場合、介護保険の支給限度額のサービスだけでは生活が維持できないケースがあります。支給限度額を超えたサービス費用は全額利用者負担となるため、こうした対象者には超過分を支給するものです。
〇就労継続支援事業所の生産活動活性化支援 600万円
新型コロナウイルスによって障害者の就労にも影響が出ています。障害者の就労を維持・確保するため、減収となっている種聾継続支援事業所に対して、生産活動の継続に必要な経費を助成します。
〇社会福祉施設等の感染拡大防止対策 3億6862万円
社会福祉施設等のマスク・消毒液等の購入に係る経費を助成するほか、感染症対策を徹底した上での事業継続に必要な研修受講等に係る経費を助成します。
対象は保育施設、子どもルーム、アフタースクール、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、ファミリーホーム、自立援助ホーム、病児病後児保育、地域子育て支援センター、子育てリラックス館、子育て支援館、児童相談所、エンゼルヘルパー等です。
〇社会福祉施設 簡易陰圧装置設置助成 1億9872万円
感染者等が発生した場合に、施設内での感染拡大を防止するため、社会福祉施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設)に対して簡易陰圧装置の設置に係る経費を助成します。
〇PCR検査等協力支援金 800万円
PCR検査・抗原検査の検体採取により、医師が新型コロナウイルスに感染し、診療所を休止した場合に、診療所に対して再開のための支援金を支給することで、検査体制の強化・維持を図ります。
〇ドライブスルー方式での検体採取 1323万円
県内で先駆けて実施してきたドライブスルー方式でのPCR検査の実施について来年3月まで期間を延長するための費用計上です。
〇特別教室のエアコン設置 26億円
分散授業や避難所の分散収容を想定して、現在未設置となっている全ての特別教室(理科室・家庭科室・図工室・美術室など)851教室にエアコンを設置します。
稼働開始時期は来年度中を予定していますが、可能な限り来年夏から使用できるように努め、設置が完了した学校から順次稼働を開始させます。
〇学校の感染症対策の強化 2億5800万円
既に学校の感染症対策として国費が出ていますが、特別警戒都道府県となった千葉県に対しては追加加算がありました。その国費拡充分を活用し、冬期の乾燥による感染症対策として加湿器を、全校集会などを各教室で行うための映像発信設備等を購入する経費を計上します。
〇オンライン指導のための環境整備 3803万円
既にGIGAスクール構想に基づき1人1台PCの調達などICTを活用した教育環境整備に大幅な予算を投入していますが、再度の休校事態にも児童生徒の学びを保障するため、オンライン指導の環境整備を進めます。
〇図書館のICT化 484万円
図書館内におけるインターネットによる資料収集等を可能とするためWifi環境を整備します。
〇避難所における3密対策 2億450万円
避難所における3密を回避することを目的に、分散避難を推進するための取り組みを実施します。
具体的には前回補正予算で計上した段ボールベッドやパーティションを保管し、かつパレット保管・フォークリフト運搬可能で大型トラックが搬入出可能な備蓄倉庫を整備するほか、分散避難先として自治会が保有する集会所等を活用するにあたり、短期滞在を想定した備蓄品等を配備します。
〇児童相談所の体制強化 672万円
感染が疑われる児童を分離する場合に備え、一時保護所の個室化実施、児童等に対応するための看護師の増員、ICTを活用した学習機会を提供するための機器導入経費などを計上します。
〇在宅保育支援給付金 1050万円
保育所等の利用に不安を感じる保護者の選択肢としてモデル的に在宅保育を支援します。保護者の就労により保育が困難な3歳未満児を在宅等で保育する市内在住の3親等以内の親族に月1万円を支給します。
〇職員のテレワーク等環境整備 1億2759万円
これまでも感染拡大下で市役所機能を維持するため職員のテレワーク環境整備を進めてきましたが、さらにリモート用端末の大幅拡充、サテライトオフィスの整備、他団体の職員が執務可能となる環境整備、遠隔会議環境の拡充を行います。
〇MICE関連施設の感染防止対策 6500万円
幕張メッセ等MICE関連施設の管理・運営事業者に対し、消毒等に要する経費を助成します。
〇動物公園の感染防止対策 1368万円
入園者自動検温器など感染拡大リスクを最小限にするための備品を購入するとともに、再開後の来園者呼び込みのための諸活動に要する経費を計上します。
以上、盛りだくさんの内容となっており、補正後の予算規模は一般会計・特別会計合わせて9,932億となっており、今後の補正予算によって千葉市として初めて1兆円を超える年度となると思われます。
今回は国の臨時交付金を主に充当して市独自の対策を多く計画しましたが、今後も国の施策、市の財政調整基金などを活用し、その時に必要な施策を臨機応変に実施していきます。
なお、これら施策は補正予算案を議会に認めて頂いて初めて実施可能です。議会の理解を得られるよう丁寧な説明に努めて行きます。