[2020年5月11日] 5月10日の感染発表はゼロ。医療、ワクチンについて

5月10日の感染発表はゼロ

5月10日、新たに新型コロナウイルスの感染が確認された患者はいませんでした。
ここ1週間の感染者は0,0,0,1,0,0,0という状況。千葉県全体では1人で14日連続で一桁です。

1人の感染者が何人に感染させるかを表す実効再生産数は千葉県が0.34。千葉県は低い数値を維持することができています。
5月10日(日)15時台の千葉駅周辺の人流データは感染拡大以前との比較で68.1%の減、宣言前(4月7日)との比較でも58.5%の減。多くの方々が週末の外出を自粛して頂いていることが分かります。
皆さまのこれまでの行動変容の積み重ねに心から敬意を表します。

医療面では新たに1名の方が退院され、累計患者数95名(入院中26名、退院63名、死亡4名、療養終了2名)。
千葉医療圏に関しては病床に余裕が出てきています。新型コロナウイルスに対する緊迫度・取るべき対策を考えるにあたっては病床の状況こそが最も重要であり、この部分の目安を市民の皆さんに分かりやすく示すことを検討しています。

なお、厚生労働省が5月10日、都道府県の確保した病床に対してどの程度患者が入院しているか一覧で公表しました。
千葉県は807床に対して入院296人で36%が埋まっている状況です。千葉医療圏以外の実態は私には正確には分かりませんが、千葉県のこの2週間の感染者数であれば医療現場は着実に落ち着きを取り戻してくることが期待できます。苦しい時期に踏ん張って頂いた医療関係者には心から感謝申し上げます。

東京都は9割という状況で、東京都は感染者数の低減傾向は確実なものの、依然として一定の感染者・入院者が発生することから、退院者が新たな入院者を大きく上回って医療現場のひっ迫が解消されるまでは少なくとも2週間程度は必要と思われます。

この確保した病床数というのが都道府県毎に解釈に違いがあり、注意が必要です。
「絶対に確保できる病床数」として公表している都道府県と、「たぶん確保できる病床数」として公表している都道府県があります。
できれば保守的に病床数を見込み、本当に厳しくなれば奥の手が出せるようにしておくことが望ましいと思います。

患者の診療を受けて頂いている医療機関に感謝

子どもの定期的な薬の処方箋を頂くために近所の診療所(医師会の役員を長く務めている方)に行った際に少し話を伺いました。
発熱等の患者の診療を拒否する医療機関が出ている中、そうした患者を診て頂いたり、保健所からの依頼にも対応して頂いています。また、隔離室があるため検体採取も時折行って頂いているとのこと。ドライブスルー方式にも医師会役員として協力頂いており、本当に感謝します。

私たちも、市医師会も、患者の診療依頼を断らないよう各医療機関には要請しています。
私は普段から医師会の役員を引き受けている等、公益的活動に関わっている医師のいる診療所をかかりつけ医としています。そうした診療所は今風の小綺麗なクリニックに比べると少し古い印象を受けるところもありますが、大事なことは医師の医療に対する姿勢だと私は考えています。

もちろん、断る医療機関もそれぞれに事情を抱えているとは思いますが、こうした危機の時は医療機関だけでなく、各企業・団体・個人の「何を大事にしているか」が鮮明に見えます。

ワクチンの重要性を理解したら、今受けられるワクチンを接種しましょう

新型コロナウイルスのワクチンの登場が期待されています。今ほど日本国民がワクチンを待ち望んでいる状態は無いと思いますが、日本が先進国の中でワクチン後進国であることも理解が広がって欲しいと思います。

日本は過去にワクチンをめぐる訴訟を契機に、義務化されていたワクチンが任意化されたり、世界で当たり前となったワクチンが定期接種化されないなど、長くワクチン後進国でした。
その後、少しずつワクチンの定期接種化が広がり、私が市長になった2009年から定期接種化されたものを挙げただけでも、

・肺炎球菌
・ヒブ
・HPV(子宮頸がん)
・ポリオ
・B型肝炎
・水ぼうそう
・風疹・麻疹

などがあります。
ここまで行政補助が充実し、乳幼児を始めとする医療施策が充実してきたことを私は毎年のように実感しています。
私は2月に帯状疱疹になりましたが、帯状疱疹ワクチンを接種しておけばと思いました。定期接種化されていなくとも、様々なワクチンが認可されています。

千葉市は国に先駆けて風疹・麻疹のワクチン接種への助成事業を開始し、市民に啓発してきました。
すれ違うだけでも感染リスクがある麻しん、胎児に深刻な後遺症が出る風疹、そして子宮頸がん。いずれも防げる時代です。今回を教訓に多くの方が接種されることを期待します。

なお、乳幼児が接種するワクチンは必ず推奨されている時期に接種しましょう。新型コロナを恐れて接種を見送る方がいるようですが、それはより高いリスクを顕在化させることになります。
今は新型コロナウイルスの関係で医療機関を受診する人が少なく、平時に比べ感染リスクが低い中でワクチン接種を受けることができます。

HPVワクチンに対する誤った理解も問題です。副作用を訴える方を報道機関が十分な精査と公平性を欠く形で大々的に報道し、そこに政治が乗って積極的勧奨が控えられた結果、未だに多くの人がHPVワクチンの実態を理解していません。

・日本では毎年3000人が子宮頸がんで命を落としている
・子宮を摘出し妊娠できない女性も多い
・世界で今まで延べ8億回接種されており、副作用との因果関係は証明されていない
・副反応が報道された国は他にもあるが、接種を控えた国は日本だけ
・諸外国では接種率は70~90%だが、日本では0.6%である

詳細は以下をご覧ください。千葉市では今年度から接種対象年齢の終わりが近づいている方々にワクチンと定期接種制度を伝えるリーフレットを送付します。
最終的には各自の判断になりますが、正しい現状を知った上で適切に判断頂きたいと思います。

『HPVワクチンをめぐる12個の作り話をファクトチェック 「危険?」「効果がない?」』
https://www.buzzfeed.com/jp/soutaromine/hpvv-mine-2

今回ほど国民が医療について考えることは無かったかもしれません。正しい医療知識・理解を促進し、私たちがさらに医療先進国になるためのきっかけとしたいですね。